親が元気なうちにやるべき実家の空き家対策|相続してから慌てないための3つの準備

2026年7月16日

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「実家、このままいくと空き家になるだろうな」——そう薄々感じてはいるものの、まだ親が元気だから、まだ先の話だからと、つい後回しにしていませんか。

名古屋で暮らしていて、実家は田舎。年に数回帰る程度。親はまだ一人で住んでいる、あるいは施設に入ったばかり。——このタイミングこそ、実は空き家対策において最も選択肢が多く、最も動きやすい時期です。

逆に、相続が発生してから動き出すと、できることが一気に減ります。この記事では、親が元気なうちにやっておくべき3つの準備と、多くの人が良かれと思ってやってしまう「最も損をする落とし穴」について解説します。

実家が空き家になる典型パターン

実家が空き家になるきっかけは、だいたい決まっています。

  • 親のどちらかが亡くなり、残った親が一人暮らしになる

  • その親が高齢になり、介護施設に入居する

  • 入院が長引き、そのまま戻れなくなる

親の生活の場が施設や病院に移ると、家だけがそこに残されます。誰も意図しないまま、ある日「そういえば実家、もう誰も住んでいない」と気づく——これが最も多いパターンです。そして子どもはすでに名古屋などで生活基盤ができていて、戻る予定はない。地元の不動産の需要も読めない。だから「とりあえず今はそのまま」——この判断が、後々の負担を大きくしていきます。

相続してから動くと、何が起きるか

「親が亡くなってから考えればいい」と思っている方に、先に現実をお伝えします。

相続人全員の同意がないと、何も進まない

相続が発生すると、遺産分割が終わるまでのあいだ、実家は相続人全員が共同で持っている状態になります。この状態では、誰か一人の判断で売ることはできません。処分するには相続人全員が首を縦に振る必要があります。

兄弟が3人いれば、3人全員の足並みをそろえる必要があります。「売りたい」「思い出があるから残したい」「そもそも興味がない」——意見が割れると、話し合いだけで何年も過ぎていきます。

相続登記は3年以内が義務

2024年から相続登記が義務化されました。不動産を相続したと知った日から3年以内に登記しなければならず、正当な理由なく怠ると過料の対象になり得ます。「面倒だから名義はそのまま」という先送りが、制度上できなくなったということです。

劣化して、売れる家が売れなくなる

人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷みます。換気も掃除もされず、水も流れない。カビや害虫が湧き、庭は草に覆われます。そうなると売却価格が下がるだけでは済みません。貸そうにも大がかりな改修が必要になり、費用がかさんで「動かせない家」になっていきます。

固定資産税が最大6倍になるリスク

さらに、管理されない空き家は「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定される可能性があります。行政の勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍にまで上がり得ます。

このリスクの詳しい仕組みについては、別記事「田舎の実家、放っておくと固定資産税が6倍に」で解説しています。

つまり、相続後に動き始めた時点で、すでに条件は悪くなっているのです。

準備①:親の意向と、実家の現状を確認する

何よりも先にやるべきは、これです。

確認しておきたいこと

  • 権利関係:土地と建物の名義は誰か。すでに亡くなった祖父母の名義のままになっていないか

  • 境界:隣地との境界は確定しているか。田舎の物件では未確定のことが少なくありません

  • 残置物:家財、仏壇、農機具など。処分にかかる手間と費用は想像以上です

  • 付随する土地:畑や山林がついていないか。これらは扱いが変わります

  • 親の希望:どうしてほしいのか。売ってもいいと思っているのか

特に権利関係と境界は、親が元気なうちにしか確認できない情報が数多くあります。「この土地はどこまでがうちなのか」「あの畑は誰から譲り受けたのか」——親が亡くなってから調べようとすると、途端に難易度が跳ね上がります。

話しづらいテーマではあります。しかし実際には、片づけや管理、活用の方法を初めて真剣に考えるのが「相続が起きてから」という人がほとんどです。思い入れがある家だからこそ、冷静に話せるうちに話しておく価値があります。

準備②:兄弟間で「誰が引き継ぐか」を先に話す

不動産は、相続財産の中で最も揉めやすいものの一つです。現金と違って、きれいに分けられないからです。

管理負担の偏りを見える化しておく

実家の近くに住む長男と、遠方の次男。この構図では、草刈りも見回りも役所とのやり取りも、地理的に近い側へ自然と集中します。ここで「近くにいるんだから仕方ない」で片づけないことです。誰がどれだけ手間を負っているのかを言葉にして共有し、その負担を分配に反映させる。交通費や手間を考慮して取り分を調整する、あるいは手続きを専門家に任せてその費用を遺産から出す、といった方法があります。

「換価分割」という選択肢を共有しておく

実家を売却して、その代金を相続人で分ける方法を換価分割といいます。不動産のまま分けようとすると揉めますが、現金にしてしまえば分けやすい。

「実家は売って、お金で分ける」——この方向性だけでも先に共有できていれば、相続が発生したときの動きがまったく違ってきます。

準備③:出口を仮決めしておく

実家の出口は、大きく4つです。

1. 売る

最もシンプルで、税負担からも管理からも解放されます。傷みが進む前ほど有利です。

2. 貸す・活用する

立地によっては、賃貸や民泊として収益を生む資産に変えられる場合があります。ただし田舎の物件では需要の見極めが必要です。

3. 管理を任せる

すぐに決められない場合でも、適切に管理していれば特定空き家への指定は避けられます。遠方で自分では通えない方には、管理代行という選択肢があります。

4. 解体する

老朽化が激しい場合、更地にして売る道もあります。ただし、ここに大きな落とし穴があります。

⚠️ 最も損をするパターン:生前に解体してしまう

「どうせ古い家だし、迷惑をかける前に壊しておこう」——親孝行のつもりで、あるいは近隣への配慮から、親が生きているうちに実家を解体してしまう方がいます。

気持ちはよくわかります。しかしこれは、多くの場合で最も損をする選択です。

生前解体のメリット

  • 倒壊や火災のリスクを回避できる

  • 近隣への景観上の配慮になる

  • 空き家管理の手間から解放される

生前解体のデメリット

一方で、失うものが3つあります。

  1. 建物がなくなることで、かえって雑草が伸び放題になり管理が増える

  2. 住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が6倍になる

  3. 相続空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる

特に3つ目が決定的です。

3,000万円の控除が消える

相続した空き家を売って利益(譲渡所得)が出ると、通常は所得税・住民税がかかります。ただし要件を満たせば、その利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれるものです。

問題は、これが名前のとおり**「空き家」を売ったときの制度**だという点です。相続が始まった時点でそこに建物が存在していることが、制度の前提になっています。親の生前に壊してしまえば、相続の瞬間に建っているのは何もない土地。特例の対象から外れると考えられます。

つまり、良かれと思って先に壊した結果、

  • 建物がなくなり、固定資産税が6倍に

  • そのうえ、売却時に使えたはずの3,000万円控除も失う

という二重の損失が発生しうるのです。

建物は残したまま相続し、相続後に売却する——このほうが有利になるケースが多いという事実は、ぜひ知っておいてください。解体は「出口を決めてから、タイミングを計って行う」ものです。

「子供に継がせますか?」という問い

ここで一度、視点を変えてみてください。

今、あなたが実家の問題を先送りにすると、その空き家はいずれあなたのお子さんが相続することになります。

そのとき引き継がれるのは、

  • 毎年かかり続ける固定資産税

  • 遠方から通う草刈りや見回りの手間

  • さらに傷んで、売るにも貸すにも動かしづらくなった建物

  • そして、権利関係も境界もわからなくなった土地

つまり、負担そのものを相続させることになりかねません。

多くの方が「子供にこのまま継がせるわけにはいかない」と感じています。だからこそ、選択肢が最も多い今のうちに、方向性だけでも決めておくことに大きな意味があります。

「うちは難しい物件だから」とあきらめる前に

田舎の実家には、こんな事情がつきものです。

  • 屋根に穴が空いている、雨漏りしているなど傷みが激しい

  • 家のまわりに畑がついている

  • 山林や別荘地で、一般的には売りにくい

「こんな状態では買い手なんてつかない」とあきらめてしまう方は少なくありません。

しかし、屋根に穴が空いているような物件でも買取に対応できるケースはありますし、畑と物件がセットになっている場合も取り扱いが可能です。一般的な不動産会社では断られがちな物件こそ、専門的に空き家を扱う体制が力を発揮します。

私たちは、こうした「難しい」とされてきた空き家の買取・管理・活用・解体を、ワンストップでご相談いただける体制を整えています。社団法人として行政とも連携しながら、名古屋にお住まいで田舎の実家をどうするか悩んでいる方の出口づくりをお手伝いしています。

まとめ|いちばん動きやすいのは、今

最後に要点を整理します。

  • 実家が空き家になるのは、親の施設入居・入院がきっかけになることが多い

  • 相続後に動くと、相続人全員の同意が必要になり、話が進まなくなる

  • 相続登記は3年以内が義務。放置は選べない

  • 放置すれば劣化が進み、固定資産税が最大6倍になるリスクもある

  • 準備は3つ:①親の意向と現状の確認 ②兄弟間での話し合い ③出口の仮決め

  • ⚠️ 生前の解体は要注意。固定資産税が6倍になるうえ、3,000万円控除も使えなくなる

  • 準備しなければ、その負担はお子さんが相続することになる

「まだ先の話」と思っているうちが、いちばん多くの選択肢を持てる時期です。傷んだ物件、畑付き、山林・別荘地でも、まずは一度ご相談ください。相続が起きてから慌てないために、今できることがあります。